正直になれない、

雑記メイン、トキドキ読書録

昇降口の時間

お題「雨の日のちょっといい話」

 

お題…。

雨の日のちょっと「いい」話。

…ブログで書くことは決まって「わるい」話なこのブログだけど、企画によって「いい」話を書いてみるのは悪くないかなと思って参加してみることに。

 

と言っても邪念・鬱憤がないのって小学生時代しかないのでそこからなんとか思い出す。

 

 

 

小学校4年生ぐらいのことだったか。下校時刻に大雨が降り始めて家に帰れなくなることがあった。

その日は午後に急な雷雨があるとお天気お姉さんが言っていたんだけど、私はうっかりして傘を持っていくのを忘れた。

今思えば友達に相合傘をしてもらえばいいだけの話なんだけど、なぜか昇降口で皆が傘を差して帰っていくのを羨ましそうに眺めてた。

 

取り残されたという惨めな思いを感じながら、しばらくぼーっとしていると後ろから「ちゃつくん!」と呼びかけられた。2年生のころ同じクラスだった女の子だった。便宜上F子ちゃんとする。

F子ちゃんは「雨ひどいね〜」と言いながら笑いかけてきた。手にはピンク色の傘があった。

 

「たしかにひどいね。でも今日傘忘れちゃって帰れないんだ」

「今日降るって言ってたじゃん!」

「玄関に行くまでは手に持ってたんだよ」

「それでなんで忘れるの!」

 

傘忘れたトークで少し盛り上がり、一通り終えたところでF子ちゃんは言った。

 

「どうせだからちゃつくんとこのまま少しここで待つよ」

 

そう言ったことに驚いた。何のメリットもないのに。

 

「いいよ。傘あるんだし帰りなよ」

「だって、ちゃつくんが帰れないのはかわいそうじゃん」

 

皆に置いて行かれて心細くしていた私にとっては嬉しかった。

待っている間は無言のこともあったけど、雨の音でそれも紛れてなんだか良い雰囲気だった。

 

30分ほどして、雨が上がった。

 

「雨止んだね、それじゃ帰ろうか」

 

私とF子ちゃんは校門まで一緒に歩いていった。

 

「ありがとう、一緒に待っててくれて」

「ううん、いいよ。それじゃあまたね!」

 

通学路が別なのでそこで別れた。

 

 

ただそれだけだったけど、今思い出すと私にも青春の1ページのようなシーンがあったんだと不思議な気持ちになった。わざわざ私のために時間を使って一緒に過ごしてくれた人がいたんだ、と。

あの日は雨が降ってよかったなと思う。 

 

 

…ちなみに後日談だけど、F子ちゃんは私のことが好きだという噂が出回っていた。私自身も雨の一件があったので、バレンタインデーの日に友達から「F子ちゃんからチョコもらった?」と聞かれて「ううん、まだ」と答えるぐらい浮かれてた。

だけど、その2週間後にF子ちゃんは他の男の子と付き合い始め、自分はひどく自惚れていたんだと実感することになった。

 

自惚れてもしょうがない気がするんだけど、もしかしたらF子ちゃんが誰に対しても優しい人だということだったのかな。

 

 

今回参加させてもらった企画の主↓

sourceone.hatenablog.com