正直になれない、

雑記メイン、トキドキ読書録

これからのアニメ世界論

平成最後のアニメ論 : 教養としての10年代アニメ (ポプラ新書) 

 

 平成最後のアニメは世界観アニメである。

 

 アニメに熱狂するのは中学生あたりがピークだと思う。私もクール初めに10本以上アニメを録画して選別していた頃が懐かしい。そんなアニメに熱狂できたのもすでに10年以上前のことである。現在はアニメどころか、マンガもあまり読まなくなってしまった。だが、最近のアニメを見てみるとなかなか面白い。作画がすごいのだ。ぬるぬる動く。昔はここまで動くのは映画アニメぐらいだったようなぁとまるでおじさんみたいな感想を持った。

 本書に紹介されたアニメを見てみても面白いものは多かった。例えば、『メインドインアビス』。このアニメは、かわいい見た目をしたデフォルトされた作画とは裏腹に、とても後味の悪いエピソードがあったり、常に油断できない世界をさまよっているという不安感があり、「かわいい」と「怖い」のギャップに震撼した。他には『幼女戦記』。以前から名前を知っていたが、勝手に萌え要素強めの戦記ものだろ? と考えていた。しかし、実際見ていると、「幼女」という一点がやたら際立っているだけで、戦争の中身はとても本格的。強い味方が1人いるだけでは戦争に勝てるわけではないし、結局平和とはなんなのか、憎悪は断ち切ることができないのかなど、色々と考えさせられてしまう内容だった。

 

 本書は「『設定』に凝った」アニメの増加に気づいた著者が、「世界観アニメ」と称して論じていく。一見、ある時期もてはやされた「データベース消費論」や「物語消費」と変わらないと考えてしまうかもしれない。著者もそれ自体は一部認めている。しかし、それらと異なる点は、受け手側が自分の世界像(常識とか考え方とかそう言ったもの)と照らし合わせ、新たな世界像を構築し直すものとしてアニメを視聴するという方法だ。それを実践すべく 「あの世とこの世」、「かわいいと怖い」「戦争と宇宙」の3つをジャンルとして打ち立て10年代のアニメ、そしてこれからのアニメについての展望を予想する。

 

 著者のネタバレを避けたあらすじの説明がとても際どく、具体的な内容が気になってつい見てしまう。さらにアニメの考察、アイデアがあらゆる文献を使って裏付けされ、一見突拍子もないように見える論も、納得できるように語られている。漠然と何かを楽しむだけではなく、例えばこのアニメ論のように分析の視点を持って見てみても良いかな、と思えるそんな本になっている。

 

印象に残った言葉

「この講義を受講する者は、深夜枠を中心に週に20本以上『アニメ』を視聴しておくこと」

 

(167)平成最後のアニメ論: 教養としての10年代アニメ (ポプラ新書)

(167)平成最後のアニメ論: 教養としての10年代アニメ (ポプラ新書)