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正直になれない大学生ブログ

趣味、鬱憤、等々つらつら書いていく。そんなブログ。

スロウイツの神様 下巻

 スロウイツの神様(下) 辻村深月

 
 
 芸術家の舞台裏が描かれたそんな本だった(実際のところはどうかわかない)。芸術家といってもすぐにイメージされるような画家や陶芸家のようなものだけでなく、映画監督、漫画家、監督、ディレクター…そういうものまでを含めた意味だ。
 
 今まで読んだ辻村小説では、思春期特有の心情が描かれていたが、この作品にも通じるところはあった。違いは、創作者としての葛藤が主に描かれているかどうか。
 
 これは環とコーキのお話。一見狩野視点の描写は多いが、第10章『十代の赤羽環は死にたかった』と最終章『二十代の千代田光輝は死にたかった』でこれは環とコーキのお話だと分かった。大げさに言ってしまえば環とコーキの恋のお話だ。互いに相手に想いを伝えられないもどかしさを感じる。
 エンヤ、加々美、スー、正義、そして狩野が環とコーキと交わることによって、キャラ設定が濃くなっていき、最後に環とコーキの心情を思う存分表現することによってこの話は完結する。
 
 最後に気になった点をひとつ。おそらく上巻を読んでいない人向けか、もしくは上巻の内容を忘れてしまった人用に、上巻で言っていたセリフや文をもう一度描いてくれていたが、自分で確認あるいは思い出しによって興奮すること(自分は知っていると思える優越感)ができると思うので要らなかったかなとは感じた。
 
 
スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)

スロウハイツの神様(下) (講談社文庫)