正直になれない大学生ブログ

趣味、鬱憤、等々つらつら書いていく。そんなブログ。

同じ時を生きる登場人物たち

光待つ場所へ 辻村深月

 

 4つの短編と書き下ろしの短編1つが収録されている。
 
 清水あやめが講義である作品に敗北を味わうところから始まる「しあわせのこみち」。恋人と別れた藤本昭彦が、彼女と行くはずたったベルリンに1人で訪れる「アスファルト」。自分をプライドをもった嘘で塗り固め続ける「チハラトーコの物語」。そして、クラス合唱を通して、あるクラスメートの知られざる一面が見えてくる「樹氷の街」。
 この小説はどうやらこの作品以前に出てきた主人公以外の登場人物にスポットが当たっているようで、「樹氷の街」でその子が出てきた時には鳥肌がたった。「樹氷の街」では時折一人称が変わり、短編ながらも個々のキャラクターに厚みがある。
 
 以前読んだ「凍りのくじら」でもそうだったが、辻村さんの作品は、自分にもこういうとこあるよなと共感できるところに魅力がある。例えば、昭彦の破壊衝動が実現されない半端さや、「普通」の幸せを手に入れられず、1つのことにしがみついてきた清水あやめ、嘘という壁を作り続けるトーコ。読めば、今の自分、あるいは過去の自分に当てはまる箇所を見つけられるかもしれない。
 
 また、少し足りない登場人物とは対照的に、格好よさが滲み出てくる登場人物もいる。例えば、「しあわせのこみち」の中で田辺がこんな言葉を言う。『友達が成功したときにそれを素直に喜べるのが、俺にとっての友達だ』。こんなことをさらっと言える姿や話す間合いが格好良い。
 
 
 最後に、朝井リョウさんの解説が秀逸で言いたいことを的確に表現・指摘している。ぜひ読み終わったら最後の解説まで読んでいただきたい。
 
光待つ場所へ

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